空き家は900万戸。20年後「4軒に1軒」の時代に、実家をどうするか

実家が空き家になった、親が施設に入って家が空いている。そんな話を身近で聞くことが増えました。

実際、日本の空き家は国の調査で過去最多を更新し続けています。この記事では、総務省・国土交通省などの公的データをもとに、空き家がどれくらい増えていて、これからどうなりそうかを整理しました。数字を眺めていると、「空き家を持っている人ほど、時間を味方にしにくい」ことも見えてきます。

空き家は900万戸。30年で約2倍に

総務省の「住宅・土地統計調査」によると、2023年10月時点の空き家は900万2千戸。5年前より51万戸増え、過去最多です。住宅全体に占める割合(空き家率)は13.8%で、こちらも過去最高でした。

30年前(1993年)は448万戸だったので、およそ2倍に増えたことになります。

2043年には約4軒に1軒が空き家に

20年後は「4軒に1軒」が空き家に

この先についても、民間の予測があります。野村総合研究所(NRI)は、2043年に空き家が約1,861万戸、空き家率は25.3%まで上がると予測しています。住宅のおよそ4軒に1軒が空き家になる計算です。

注目したいのは、増えるペースです。ここ5年の増加は51万戸でしたが、予測どおりに進むと、これからは5年あたり平均で約240万戸。今の4〜5倍の速さで増えていくことになります。

年々増えかたが上昇する

今の増え方がゆるやかなのは、一人暮らしの世帯が増えて住宅の需要を支えているためで、NRIはこの効果が2030年代前半まで続くとみています。その後は一戸建てを中心に空き家が一気に増える、という見立てです。

売りに出ている空き家は、ごく一部

900万戸の空き家のうち、「売却用」として市場に出ているのは32万6千戸。空き家全体の3.6%、約28軒に1軒にすぎません。

いちばん多いのは賃貸用の空き部屋(約49%)で、次に多いのが、売りにも貸しにも出されていない「使う予定のない空き家」(約43%、385万6千戸)です。

売りに出されているのは一部

国土交通省の調査では、空き家所有者の今後5年の予定として最も多かったのは「空き家のままにしておく」(31.7%)で、「売却する」(19.5%)を上回りました。理由としては「物置として必要」「解体費用をかけたくない」が上位に挙がっています。

すぐに決められない事情は、どの家にもあると思います。ただ、空き家がこれだけ増えていく中で、売りたいと思ったときに買い手が見つかるかどうかは、年々わからなくなっていきます。

売るときの壁、1位は「住宅の傷み」



同じ国土交通省の調査で、空き家を売る・貸すうえでの課題を所有者に聞いたところ、最も多かったのは「住宅の傷み」(43.3%)でした。「買い手・借り手が少ない」(40.3%)を上回っています。

4割を超える人が空き家の傷みによる売れなさ

調査では、腐朽や破損が「ない」と答えた空き家は34.1%、およそ3分の1にとどまりました。また、管理の悩みとして「遠方で行けない」を挙げた人も21.6%います。

人が住んでいない家は、毎日目にする人がいません。外壁のひび割れや屋根の傷み、雨どいの詰まり、雨漏りのしみ。住んでいればすぐ気づく小さな変化も、たまにしか行かない家では見落としがちです。気づいたときには修繕が大がかりになっていた、ということも起こりえます。

相続した空き家の7割超は1980年以前の建物です。もともと築年数が古いところに傷みが重なると、売るにも貸すにも条件は厳しくなります。空き家は、置いておく時間そのものが価値を下げていく方向に働きやすい資産だといえそうです。

まずは「今の状態」を知ることから

https://www.akiyauru.com/

空き家をどうするかは、家族の思い出や事情もあって、簡単には決められません。それでも、早めにできることはあります。

・年に数回でも家を見に行き、外壁・屋根・雨どい・室内のしみを確認する

・行けない場合は、管理サービスや近くの親族に様子を見てもらう

・売る・貸す・残すのどれにするか、家族で一度話しておく

・売却を考えるなら、相場や査定額を早めに調べておく

決断を急ぐ必要はありません。ただ、「まだ大丈夫」と思っているあいだにも、家の状態と周りの空き家の数は少しずつ変わっていきます。今の状態を知っておくことが、いちばん負担の少ない第一歩だと思います。

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■出典

・総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)」(2024年9月25日)

https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/pdf/kihon_gaiyou.pdf

・総務省統計局「統計で見る日本 住宅・世帯のすがた」

https://www.stat.go.jp/info/guide/asu/pdf/2025asu_3-2.pdf

・野村総合研究所「2040年度の新設住宅着工戸数は58万戸に減少、2043年の空き家率は約25%まで上昇する見通し」(2024年6月13日)

https://www.nri.com/jp/news/newsrelease/20240613_1.html

・国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査」(2025年8月29日)

https://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000233.html

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001907478.pdf

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