空き家の維持費を1坪あたりで試算したら、10年で230万〜390万円かなりの負担額。

試算は平均的な負担額を基本として

前回の記事では、空き家が900万戸まで増え、20年後には4軒に1軒になるという見通しを紹介しました。

今回は、空き家を「持ち続ける」とお金がいくらかかるのかを試算してみました。住んでいない家でも、税金や保険、管理の費用は毎年かかります。1年ではそれほど大きく感じなくても、3年、5年、10年と積み重なると、無視できない金額になります。

試算の前提:平均的な一戸建て



総務省の「住宅・土地統計調査」(2023年)によると、一戸建ての延べ床面積は平均126.32㎡、約38坪です。この記事では、この広さの木造の家と、200㎡(約60坪)の土地を想定しました。

費用は2つのパターンで試算しています。

・A. 最低限の維持:税金・保険・見回り・草刈り・光熱費の基本料金だけ払う
・B. 資産として保つ:Aに加えて、将来の修繕に備えて積み立てる

1年で約23万〜39万円。1坪あたり約6,000円〜1万

円



試算の結果、最低限の維持でも年約23万円、修繕の積み立てまで含めると年約39万円になりました。

およそ38坪、200平米の空き家で試算です

延べ床1坪あたりにすると、年約6,000円〜1万円です。ご自身の家の坪数に掛けると、おおよその目安になります。たとえば30坪の家なら年18万〜30万円、50坪なら年30万〜50万円ほどです。

各項目の考え方は次のとおりです。

・固定資産税・都市計画税:土地の評価額を600万円(1㎡あたり3万円)、建物の評価額を約250万円(築年数の経った木造を想定)として、税率1.4%と0.3%で計算しました。土地は住宅用地の特例で軽くなっています。

・火災保険:人が住んでいない家は「住宅物件」ではなく「一般物件」として扱われ、保険料が2〜3倍になることがあります。住宅のときに年3万円の保険を、年6万円と見込みました。

・見回りサービス:日本郵便の「空き家のみまもりサービス」は月4,280円(税込)です。月1回、外観や鍵、草木の状態を見て写真で報告してくれます。

・草刈り・庭木:年2回、1回1万5千円と見込みました。

・電気・水道の基本料金:通水や点検のために契約を残す場合の目安として、月2,000円としました。

・修繕の積み立て:アットホームの調査では、木造の一戸建てに30年以上住んでいる人の修繕費の累計は平均470.2万円でした。これを30年で割った年約15.7万円を積み立てに見込みました。

固定資産税や保険料は、地域や家によって大きく変わります。お手元の納税通知書や保険証券の金額に置き換えると、より正確になります。

3年で約68万円、10年で約230万円

この費用を持ち続けた場合の累計は次のとおりです。

3年で68万円から116万円、5年で114万円から193万円

・3年:約68万円(修繕の積み立て込みで約116万円)

・5年:約114万円(同 約193万円)

・10年:約228万円(同 約385万円)

この試算は毎年同じ金額としています。実際には物価の上昇や、建物の劣化による修繕、給湯器などの設備の故障が加わるため、年数がたつほど負担は増える方向に動きやすくなります。

民間の解説でも、空き家の維持費は「年20万〜30万円ほど、5年で100万円を超える」とされることが多く、今回の試算もおおむね同じ水準です。

放っておくと、土地の税金が上がることも

もうひとつ知っておきたいのが、固定資産税の特例です。家が建っている土地は「住宅用地の特例」で、固定資産税の計算のもとになる金額が最大6分の1に抑えられています。

ところが、草木が伸び放題になったり外壁が壊れたりして、市区町村から「管理不全空家」や「特定空家」として勧告を受けると、この特例が外れます。

勧告だけは避けたいところ

今回のモデルでは、土地にかかる税が年2万円から年約7.1万円へ、約3.6倍になりました。費用をかけずに放っておくことが、かえって負担を増やす結果になりかねません。


余談ですが、私の場合、実家まで高速で1時間ほど何かあればすぐに駆けつけられる距離でしたし定期的にシルバーセンターで剪定もお願いしていたにも関わらず、庭木が道路に掛かっていると役所へ連絡が入ったりと近隣の皆さんからすると気付かないうちに不安要素が増えていたのではと感じました。台風などに備えて外壁なども休みの日に補強していたのですが、地域に空き家があることで放火リスクや犯罪に使われたりと後から知るとご迷惑や心労をお掛けしたかなと反省しきりです。

家は「持ち続ける資産」から「活かす資産」へが正解だったと感じます。

ここまでの試算を見ると、使っていない家を持ち続けることは、毎年お金と手間を払い続けることでもあります。家は持っているだけで価値を保てるものではなく、人が住み、手入れされてこそ価値が保たれます。

使う予定のない家には、大きく3つの選択肢があります。

寝かさずに活用して負担を減らす、もしくは売買も視野に

・活かす

賃貸やセカンドハウス、地域の活用などに回せば、収入で維持費をまかなえます。人の出入りがあると、傷みにも早く気づけます。

・売る

維持費と管理の手間がなくなります。相続した空き家は、条件を満たせば売却益から最大3,000万円を差し引ける特例があります(相続人が3人以上なら2,000万円)。この特例は、相続から3年が過ぎる年の年末までの売却が対象で、制度そのものも2027年12月31日までの売却が対象です。

・持ち続ける

思い出の家を残せる一方で、年23万〜39万円ほどの費用と、傷みや税負担が増えるリスクを抱え続けることになります。

どれが正解かは家庭によって違います。ただ、決めずに時間が過ぎることがいちばん費用がかかる選択になりやすい、というのが今回の試算からいえることです。

まずは「年間いくらかかっているか」を書き出してみる


最初の一歩としておすすめなのは、今の家にかかっている費用を書き出してみることです。

・固定資産税の納税通知書を見て、税額と評価額を確認する

・火災保険が「空き家」として契約されているか、保険料はいくらかを確認する

・見回りや草刈り、交通費など、管理にかかっている費用と時間を数える

・その合計を、活かした場合・売った場合と比べてみる

数字にしてみると、家族で話し合うときの材料にもなります。「いつか考えよう」を「今年考えよう」に変えるきっかけになればうれしいです。

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■出典・前提

・総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)」表6(一戸建の1住宅当たり延べ面積126.32㎡)

https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/pdf/kihon_gaiyou.pdf

・日本郵便「空き家のみまもりサービス」(2025年7月1日発表、基本プラン月額4,280円・税込)

https://www.post.japanpost.jp/notification/pressrelease/2025/00_honsha/0701_01_01.pdf

・アットホーム「一戸建て修繕の実態」調査(2021年)※ダイヤモンド不動産研究所の記事より

https://diamond-fudosan.jp/articles/-/1111500

・ファイナンシャルフィールド「実家が空き家に…火災保険料が更新時に3倍に」(2026年6月12日)

https://financial-field.com/insurance/entry-506028

・国土交通省「固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置」

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/002019834.pdf

・国税庁 タックスアンサー No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm

・北九州市 掲載資料(クラッソーネ作成、空き家の維持費 年20万〜30万円の目安)

https://ssl.city.kitakyushu.lg.jp/files/001202487.pdf

※税額・保険料・草刈り・光熱費は、上記の前提を置いた試算です。地域や建物の状態によって大きく変わります。

※3,000万円特別控除には、1981年5月31日以前に建てられた家であること、売却代金が1億円以下であることなどの条件があります。利用を考える場合は、税務署や税理士にご確認ください。

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